信仰と相続をどう調和させる?想いを残す遺言の作り方

みなさん、こんにちは。司法書士の今井です。
今日は「信仰と相続をどう両立するか」というテーマでお話しします。

信仰を大切にして生きてこられた方の中には、こんな不安を抱える方が少なくありません。

  • 「自分が築いた財産を宗教団体に遺したいけれど、家族にどう思われるか」

  • 「信仰を反映した遺言は、きちんと実現できるのだろうか」

このような不安を放っておくと、亡くなった後に家族と宗教団体の間でトラブルが生じてしまうこともあります。
だからこそ、生前に準備をしておくことがとても大切なのです。

目次

1. 遺言書の作成が第一歩

遺言がなければ、財産は法律に従って分けられます。
その結果、宗教団体に託したかった財産が、相続人の法定相続分に従って分配されてしまいます。
また、相続人がいない場合は、最終的に国に渡ってしまうことも。

こうした事態を避けるために、公正証書遺言 を作成することをおすすめします。
公証人が立ち会って作成するため、形式不備で無効になるリスクがなく、トラブルを防ぐ効果も高いのです。

2. 付言事項で想いを伝える

遺言には「付言事項」という、法的効力はないものの想いやメッセージを残せる部分があります。

たとえば、
「私はこの信仰に支えられて生きてきました。そのため、遺産の一部を宗教団体に託します」
と記しておくだけで、ご家族にとって理解しやすくなります。

実際、この一文があるかどうかで、ご家族の受け止め方が大きく変わるケースもあります。

3. 遺言執行者を指定する

遺言執行者とは、亡くなった後に遺言の内容を実際に実行してくれる人です。
信仰に理解のある専門家を遺言執行者として指定しておけば、意図した内容が確実に実現されやすくなります。

信仰と相続を両立させるための3つのポイント

まとめると、信仰を反映した相続を実現するには――

  1. 遺言書を作成すること

  2. 付言事項で想いを伝えること

  3. 信頼できる遺言執行者を選ぶこと

この3つがとても大切になります。

書籍のご紹介

実は、これらの内容をさらに詳しくまとめた書籍を執筆しました。

宗教と信仰を大切にする人の遺言・相続ハンドブック です。

この本では、信仰と相続をどう調和させるかをテーマに、

  • 宗教団体への遺贈の注意点

  • 家族への配慮と対話のコツ

  • 遺言の形式と信仰を反映させる工夫

  • 死後事務契約や後見制度、尊厳死宣言

といった具体的な方法を、実務経験に基づいて紹介しています。

「自分の信仰を次の世代に残したい」「財産をどう使うか迷っている」という方には、必ずお役に立てる内容です。
関心のある方は、ぜひ手に取ってみてください。

おわりに

信仰と相続をどう両立させるか――これはとてもデリケートでありながら、大切なテーマです。
今日のお話が、ご自身やご家族のこれからを考えるきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

兵庫県西宮市で、地域密着型の法務サービスを提供しています。

遺言・相続、登記、成年後見、民事信託など幅広い分野で活動し、難しい法律用語を分かりやすく説明することを心がけています。

趣味は読書、ウォーキング、食べ歩きです。地域の皆様に親しみやすい司法書士・行政書士を目指しています。

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