こんにちは。司法書士の今井です。
今日は「家族がいなくても安心。任意後見で信頼できる人を選ぶ方法」というテーマでお話しします。
70代のおひとりさまから、こんなご相談をよくいただきます。
-
「認知症になったら、銀行や施設の手続きはどうしたらいいの?」
-
「頼れる家族がいないけど、誰かにお願いする方法はあるの?」
こうした不安に応えるのが 任意後見制度 です。
任意後見とは?
任意後見とは、元気なうちに「将来、判断力が落ちたときに備えて、信頼できる人に財産管理や生活の支援をお願いしておく制度」です。
契約は 公正証書 で結ぶため、法的にもしっかり効力があります。
最大の特徴は、「自分で誰にお願いするか」を選べること。
これは、おひとりさまにとって大きな安心材料となります。
任意後見人に選べる人
任意後見人として選べるのは、大きく分けて次の2つです。
-
親族や友人などの身近な人
-
司法書士や弁護士といった専門家
親族・友人にお願いする場合
費用がかからず、信頼関係がある点はメリットです。
ただし注意が必要です。任意後見人は、銀行の手続きや介護・施設契約、税金や医療費の支払い、さらに家庭裁判所への定期報告など、多くの事務を担います。
実際に「信頼できる知人」に無報酬で任せた方がいましたが、膨大な手続きや裁判所への報告に追われ、続けられなくなってしまったケースもあります。
「信頼できる」という理由だけでは、相手に過大な負担をかけてしまうことがあるのです。
専門家にお願いする場合
司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合は、月3万円ほどの報酬が必要です。
ですが、経験豊富な専門家なら財産管理や契約を正確に進めてもらえるため、将来のトラブル回避につながります。
生前だけでなく「死後」の備えも大切
任意後見契約で扱えるのは、あくまで「生きている間のこと」だけです。
亡くなった後の葬儀・納骨・遺品整理などは対象外となります。
そのため、おひとりさまの場合は 死後事務委任契約 をあわせて結んでおくことが大切です。
これにより、亡くなった後の手続きまで信頼できる人に任せられます。
まとめ
任意後見を活用すれば、家族がいなくても将来の安心を備えることができます。
ただし任意後見人を選ぶときは、次の3つを意識してみてください。
-
信頼できるだけでなく、事務負担に耐えられるかどうか
-
専門家に頼むなら、経験豊富な人を選ぶこと
-
死後のことも考えて「死後事務委任契約」も検討すること
元気なうちに準備しておけば、将来に不安を残さず過ごせます。
今日のお話が、皆さまの安心の一歩になれば幸いです。