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「身元保証人がいないと入院もできない?」高齢者が直面する現実と解決策

近年、高齢者の「身元保証」に関するトラブルが急増し、深刻な社会問題となっています。国民生活センターの報告によると、2013年から2018年の間に年平均100件以上の相談が寄せられており、その数は増加傾向にあります。

また、2025年1月8日付の日本経済新聞でも、高齢者の身元保証や見守りを担う「身元保証サービス」に関する消費者相談が急増していることが報じられました。

本記事では、高齢者向けの身元保証サービスの実態と、トラブルを避けるための自衛策についてご紹介します。

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1. 高齢者の「身元保証」サービスとは?

近年、頼れる家族・親族がいない単身高齢者、いわゆる「おひとり様」の増加に伴い、老後の不安を軽減するためのサービスの需要が高まっています。

特に、病院への入院や高齢者施設への入所の際に必要となる「身元引受人」の代行を求める声が多く、これに応える形で民間の「身元保証サービス」が登場しました。

通常、入院手続きでは家族や親族が身元引受人(連帯保証人)となり、以下のような役割を担います。

  • 緊急時の連絡先
  • 手術の際の同意
  • 亡くなった場合の遺体引取
  • 入院費の支払い保証

同様の役割は、高齢者施設に入所する際にも求められます。しかし、単身高齢者が増えたことで、これらの役割を担う人がいないケースが多くなり、民間の身元保証サービスへのニーズが高まっています。

2. 民間の身元保証サービスでのトラブルが急増

ニーズの高まりを受け、葬儀社や介護事業者、不動産業者などさまざまな業界から身元保証サービスへの参入が相次いでいます。しかし、これらの事業者には規制や監督する省庁がなく、サービスの品質には大きなばらつきがあります。

そのため、以下のようなトラブルが多く報告されています。

(1) 入院・施設入所が困難になるケース

身元保証人がいないため、病院や施設から入院・入所を拒まれるケースがあります。

(2) 高額な保証料金の請求

サービス利用開始時に100万円以上、死後事務費用を含めると300万円以上の費用が発生することもあります。

(3) 契約内容の不明確さ

パンフレットと契約書の内容が異なり、契約時に十分な説明がされていないケースが見られます。

(4) 解約の困難さ

一度契約すると解約方法が分かりづらく、不要になっても解約できないまま支払いを続けるケースがあります。

また、身元保証を依頼した事業者が、利用者の判断能力低下を利用して遺言を作成させ、自社に財産を遺贈させるような悪質なケースもあります。

3. 司法書士・行政書士など法律専門職によるサポート

こうしたトラブルを防ぐため、司法書士・行政書士などの法律専門職による「身元保証」と類似したサービスが注目されています。

成年後見制度や財産管理の専門家である司法書士・行政書士は、単身高齢者の方々が老後を安心して過ごせるよう、以下のような契約を組み合わせて支援を行っています。

(1) 見守り契約

元気なうちから、定期的に本人の状況を確認し、支援が必要になった際に適切な対応を行う契約です。

(2) 財産管理委任契約

本人が認知症などで判断能力が低下する前から、財産管理を委託する契約です。

(3) 任意後見契約

本人の判断能力が低下した際、あらかじめ決めた後見人(司法書士など)が代理で財産管理や契約行為を行う契約です。

(4) 遺言の作成

自分の死後の財産処分について、法的に有効な形で指定しておくことで、トラブルを防ぎます。

(5) 死後事務委任契約

葬儀・納骨・永代供養など、死後に必要な手続きを司法書士などに委任する契約です。

これらの契約を組み合わせることで、長期的に一貫したサポートを受けることが可能になります。

4. 民間事業者と法律専門職によるサービスの違い

法律専門職が提供する身元保証サービスと、民間事業者によるサービスの違いは以下の通りです。

項目 民間事業者 司法書士・行政書士など法律専門職
監督機関の有無 なし(規制なし) あり(国家資格者)
保証金・預託金 高額な保証金が必要な場合あり 保証金なし
契約の透明性 パンフレットと契約内容が異なる場合も 契約の法的有効性が確保される
一貫したサポート 事業者ごとに得意分野が異なる 老後から死後まで一貫した対応が可能

このように、法律専門職に依頼することで、トラブルのリスクを大幅に軽減できる可能性があります。

5. おひとり様が取るべき自衛策

もし民間事業者に「身元保証サービス」や「預金管理・生活支援サービス」を依頼する場合、以下の対策を講じることが重要です。

  • 契約内容をしっかり確認し、複数の事業者を比較する
  • 不明点は必ず質問し、書面で回答をもらう
  • 法律専門職(司法書士・行政書士)と「任意後見契約」を結び、サービスの適正性を監督してもらう

今後、国や地方自治体による許認可制度や優良業者の認証制度が導入されることが期待されますが、それまでの間は慎重にサービスを選び、信頼できる専門家と連携することが大切です。

老後の安心を確保するために、ぜひ適切な備えを検討してみてください。

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