家族信託では、委託者など当事者の地位承継について考えることが大切です。

本記事では、「委託者の地位は死亡により相続人に承継されるか?」という論点をまとめました。

 

家族信託に関わる方々の参考になりましたら幸いです。

目次

委託者の死亡により信託は終了するか

まず、委託者の死亡によっても信託が終了することはありません。

委託者死亡後は、信託法の規定によって、相続人に地位が承継されるかどうかが決まります。

 

ただし、「委託者の死亡により信託は終了する」と定めることも可能です。

 

しかし、委託者の死亡後でも、財産管理や遺産承継は必要になることが一般的ですので、

「委託者死亡により信託を終了させる」旨を定めるケースは少ないように思われます。

委託者の地位は死亡により相続人に承継されるか

委託者の地位が相続人に承継されるかは、信託行為が遺言信託かどうかで異なります。

家族信託を遺言で行った場合(遺言信託)

遺言信託の場合、原則、委託者の地位は相続人に承継されません。

遺言信託における委託者の相続人
信託法第147条 第三条第二号(注:遺言信託)に掲げる方法によって信託がされた場合には、委託者の相続人は、委託者の地位を相続により承継しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

遺言信託以外の家族信託の場合

遺言信託以外の家族信託では、原則、相続によって委託者の地位が相続人へ承継されます。

委託者の地位は誰に承継させると良いか

委託者の地位を相続人に承継させると、委託者の相続人と受益者が利益相反関係になるおそれがあります。

また、相続人が複数いる場合など、委託者の権利関係が錯綜するかもしれません。

 

そのため、委託者の地位を相続人に承継させるのはおすすめできません。

 

ただし、委託者の地位を相続により承継させないと決めただけでは、委託者死亡後は委託者が欠けた状態となります。

これでは、追加信託や信託の変更をスムーズに行うことができません。

 

そのため、「委託者の地位は相続人に承継せず、受益者の地位と共に移動する」といった定めを設けることをお勧めします。

まとめ

家族信託では、将来を見据えた仕組み設計が大切です。

西宮市の司法書士・行政書士今井法務事務所では、家族信託に関する相談をお受けしております。

 

成年後見・遺言など、終活サポート全般を取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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