世の中の法には、「実定法」「自然法」といった区分があります。
実定法と自然法は、辞書では以下のように定義されています。
自然法・・・事物の自然本性から導き出される法の総称
しかし、言葉だけではどんなものかイメージしにくいですよね。
今回は、実定法と自然法との違いを、例を挙げてできるだけ分かりやすく解説します。
また、実定法と自然法のどちらが大事かや、私が好きな自然法についても言及しました。
あなたの参考になりましたら幸いです。
実定法とは?
実定法とは、憲法・民法・会社法・刑事訴訟法など、人が作った法のこと。
慣習によって守られるようになった慣習法や、裁判所の判例なども実定法の一種です。
法律家が日常的に扱う法律は、この実定法。
例えば、司法書士が不動産売買に立ち会う際は、民法・不動産登記法・農地法・区分所有法などの実定法に基いて手続を進めます。
実定法は、自由意思をもった個人をまとめるためには必須のもの。
しかし、世の中には実定法だけでなく、自然法という目には見えない法則も常に存在しています。
自然法とは?
自然法とは、自然の定めにより存在している法則・道理・道徳のこと。
例えば、
「悪口や二枚舌を使うと嫌われる」
「貪欲・怒り・慢心・偏見などは人の心を乱す」
「自己犠牲の精神で努力している人は救われる」
といったものです。
自然法は永遠に変わらない法則であり、いくら科学が発達しても廃れることはありません。
実定法と自然法、どちらが大切?
それでは、実定法と自然法では、どちらが大切なのでしょうか。
答えは、「実定法と自然法のどちらも大切だが、自然法に逆らう実定法には問題がある」です。
自然法に反する実定法は、砂上の楼閣とも言えます。
共産主義が繁栄をもたらさなかったように、自然法を無視する実定法が人に幸せをもたらすことはありません。
ギリシャ神話では、ロウで出来た翼を持ったイカロスという人物が、太陽に近づきすぎたため翼が溶け墜落死しました。
これは「太陽に近づいてはいけない」という実定法がなくても、自然法に逆らったために起こった悲劇です。
「悪いことをしてお金持ちになっている人もいるじゃないか」と考える方もおられるかもしれませんが、
『今世で蒔いた種は来世で刈り取らなければならない』という考えも自然法にあります。
実定法は大事ですが、自然法の存在を無視してはいけません。
いくら耳障りの良い儲け話があっても、それが「自然法に一致しているか」どうか考えることは大切です。
最後に
最後に、私の好きな自然法を紹介します。
・この人生を今日も楽しんだか
・常日頃から心を磨いているか
「銀座まるかん」創業者で高額納税者12年間連続10位以内を果たした斉藤一人さんも、この考えを大切にしています。
実定法を守っていても、自然法をないがしろにする人には魅力がありません。
反対に、実定法をあまり知らなくても、自然法に従って生きている人は魅力的です。
21世紀は「心の時代」と言われます。
そのため、これからの法律家は、実定法だけではなく、自然法にも通じる必要があると私は考えています。
偉そうな書きぶりになりましたが、私の考えを率直に綴ってみました。
少しでも同感していただければ、これ以上嬉しいことはありません。