抵当権抹消|委任状に記載された代表者が退任している時の登記申請

抵当権抹消登記を申請する際、委任状に記載された代表者が退任していた事例がありました。

今回、抵当権抹消登記を申請したのは、ダイヤモンド信用保証株式会社の抵当権。
依頼者に確認すると、ダイヤモンド信用保証会社から抹消書類が交付されたのは1年前です。

もちろん、信用保証株式会社の委任状に記載されているのは、1年前に在任していた代表取締役。
現在もその代表者が在任しているかは分かりません。

法改正により、不動産登記を申請する際、会社等法人番号の記載があれば法人登記簿の添付は不要となりました。
そのため、ダイヤモンド信用保証会社の法人登記簿も手元にありません。

やむを得ず、直接ダイヤモンド信用保証株式会社に電話し、代表者に変更がないか確認しました。
すると、現在の代表取締役は、委任状に記載されている『戸田勝也』氏ではなく、『末永吉識』氏とのこと。

ダイヤモンド信用保証株式会社からは、「新しい委任状を送ることも可能です」との説明がありました。
しかし、委任状を取り寄せるために依頼者に動いて頂くのも気が引けましたので、昔の委任状で登記申請を行うことを決定。

登記の委任状に記名押印のある代表取締役が変更している場合、申請書の記載事項が変わります。
なお、登記の委任状に有効期限はありませんので、いくら過去の委任状でも代表者が同じであれば心配無用です。

今回は、『平成5年度主席登記官会同における質疑第2.2』を参考にし、以下のような登記申請書を作成しました。

義 務 者
東京都文京区本郷三丁目18番14号
ダイヤモンド信用保証株式会社
(会社法人等番号 0100-01-000007)
代表取締役  戸田勝也 (本件申請時の代表取締役 末永吉識)
備考:登記義務者の代表者戸田勝也の代理権限は消滅している。代理権限を有していた時期は平成26年6月24日から平成29年6月27日である。

ちなみに、登記義務者として記載する代表取締役について、「旧代表と新代表どちらを申請書に記載するか」は法務局により異なるとのこと。
今回は旧代表者を記載して、カッコ書きで新代表者も記載するという方法を取りました。

新代表者を記載する場合は、備考欄に旧代表者名があるので、わざわざ「代表取締役 末永吉識(当時の代表取締役 戸田勝也)」などと記載するのは蛇足かと思われます。

なお、登記申請書には、退任した代表取締役の在任時期の記載が必要です。
(在任時期くらい、登記官が法人登記簿を確認してくれたらいいと思うのは私だけ?)

そのため、場合によっては、現在の登記簿だけでなく閉鎖登記簿も取得しなくてはなりません。

こう考えると、金融機関に新しい委任状を送ってもらった方が、費用の節約にはなります。
しかし、委任状取り寄せに時間や手間がかかるため、どちらの方法を取るかはケースバイケースです。

今回は委任状を送ってもらわず、弊所でダイヤモンド信用保証会社の登記簿を取得して申請しました。
依頼者には特に相談しませんでしたので、登記簿代は自腹です。

繰り返しになりますが、現在は、登記申請時に法人登記簿を添付する必要は原則ありません。
そのため、『委任状に記載された代表取締役が退任している』ことに気づかないケースも想定されます。

代表取締役の氏名を誤っただけで登記が却下されることはありませんが、補正となるのは嫌ですね。

以上、抵当権抹消登記で委任状に記載された代表取締役が退任していた時の申請書でした。
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参考条文

不動産登記法第17条(代理権の不消滅)
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
1.本人の死亡
2.本人である法人の合併による消滅
3.本人である受託者の信託に関する任務の終了
4.法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

参考先例

登記申請の代理権が消滅していない場合の申請書の添付書類等について(通知)
(平成6年1月14日法務省民三第366号通知)
二 登記申請の委任をした法人代表者の代表権限が消滅した場合において、その委任を受けた代理人が当該委任に係る代理権限証書を添付して登記の申請をするとき
(1)申請書に添付された登記申請の代理権限を証する書面の作成名義人である法人の代表者が現在の代表者でない場合には、当該代表者の代表権限を証する書面として申請書に添付する書面には、当該代表者が代表権限を有していたことを明らかにする当該法人の閉鎖登記簿謄本が含まれる。この場合において、閉鎖登記簿謄本は、作成後三か月を超えるものであっても差し支えない。なお、上記のような書面を添付して申請をするときは、その代理人において当該代表者の代表権限が消滅している旨を明らかにする必要がある。

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