登記名義人住所変更登記で住民票・戸籍附票が取れない場合の対処法

日本司法書士会連合会が発行している『月報 司法書士』の2018年2月号で、登記名義人住所変更登記についてのコラムがありました。

テーマは、「登記名義人の住所変更登記で住民票・戸籍附票が取れない場合どうするか?」というもの。

 

専門的な内容となりますが、今回はこのコラムの概要を紹介いたします。

もし同じ問題でお困りの方がおられましたら、ぜひ参考にしてください。

登記名義人の住所変更登記で住民票・戸籍附票が取れない場合の対処法

まず、住所変更登記を申請する場合、不動産登記令別表23により以下の書類を用意しなければなりません。

不動産登記令別表23 当該登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

 

難しく書かれていますが、これらは「住民票の写し」「戸籍の附票」等が該当します。

住民票等により、登記簿に記載されている住所と現住所との沿革(=つながり)を確認できれば問題ありません。

 

しかし、「住所について変更があったことを証する情報」が用意できない場合はどうすればいいでしょうか。

例えば、登記名義人が住所を転々としており、保存期間が原則5年間である住民票の除票や除附票が取れないといったケースもあります。

 

この場合、『月報 司法書士』の2018年2月号では、以下のような情報を提供する方法が紹介されています。

  1. 可能な範囲で入手した住民票等に加えて登記識別情報通知等の写し
  2. 不在住証明書や不在籍証明書
  3. 自らが名義人であることに相違ない旨の上申書
  4. 当該不動産についての課税通知書

注意点は、上記4つのいずれかを用意すれば必ず登記できる訳ではない点。

法務局により必要書類が異なる場合もあるため、事前に管轄法務局にご確認下さい。

 

なお、弊所では、住所の沿革がつかない場合、上記1・3・4の書類により登記を申請するのが通常です。

2の不在住証明書や不在籍証明書は、交付されない市区町村役場もありますので、弊所ではほぼ利用しておりません。

 

また、1・3・4はいずれか1点ではなく、3の上申書は必ず作成し、それ以外に1・4を用意します。

加えて、3の上申書には実印を捺印し、印鑑証明書も準備してもらうようお願いしております。

まとめ

『月報 司法書士』では、「所有権登記名義人表示変更登記が様々な登記の前提としてなされるものであり、

その可否がその後の登記に直接影響を与えることを考えると、統一したルールが切に望まれる。」と締めくくられています。

 

住所変更登記で住所の沿革がつかないケースはよくありますので、私も同意見です。

以上、登記名義人の住所変更登記で住民票・戸籍附票が取れない場合についてでした。

おすすめの記事
Q.家族信託で委託者の地位は死亡により相続人に承継されますか?
家族信託では、委託者など当事者の地位承継について考えることが大切です。 本記事では、「委託者の地位は死亡により相続人に承継されるか?」という論点をまとめました。 家族信託に関わる方々の参考になりましたら幸いです。 委託者の死亡により信託は終了するか まず、委託者の死亡によっても信託が終了することはありません。 委託者...
尼崎市(兵庫県)の戸籍を郵送で取り寄せる方法まとめ
このページでは、尼崎市(兵庫県)の戸籍を郵送で請求する方法をまとめました。 戸籍取寄せで注意するポイントも解説していますので、ぜひご活用ください。 尼崎市(兵庫県)の戸籍を郵送請求する際の窓口 本籍地が尼崎市(兵庫県)の場合、戸籍を郵送請求する際の窓口は以下のとおりです。 〒660-8501 (尼崎市役所専用の郵便番号...
西宮市・甲子園口の経営者たちの集い“リープリング”に参加しました。
西宮市・甲子園口の経営者たちの集い“リープリング”に参加しました。
2018年4月19日、JR甲子園口駅以北で経営に携わっているオーナーたちの集まりに参加しました。 グループ名は"リープリング”。ドイツ語で「大切な人」という意味だそうです。 当初は4人のオーナーから始まったリープリングも、今回は総勢13名の方が参加。 参加者は、すべてJR甲子園口駅の北側で個人事業や会社を経営されている...
不動産などの遺産分割で代償分割する際の注意点
不動産などの遺産分割で代償分割する際の注意点
相続手続において複数の相続人がいる場合、一般的には、相続人全員の協議により遺産を分割します。 しかし、遺産の内容によってはスムーズに話し合いが進まないケースもあります。 例えば、被相続人の遺産が不動産のみの場合などです。 一人が不動産を相続すれば、他方は何も遺産を相続できないため、相続人間で揉めるかもしれません。 今回...