合同会社の定款を自分で作成して会社設立する際の注意点

これから会社を設立しようと考える場合、多くの方が選ぶのは「株式会社」です。
しかし、昨今では株式会社ではなく、合同会社を選ぶ方も増えています。

合同会社は、株式会社と比べて設立手続が簡単です。
そのため、司法書士・行政書士などの専門家に依頼せず、ご自身で合同会社を設立される方もおられます。

たしかに、合同会社の設立はそう難しくありません。
インターネットや書籍で調べれば、定款のひな形も見つかります。

しかし、注意して頂きたいのは、ひな形どおりの定款では落とし穴がある点です。
今回は、合同会社の定款を自分で作成して会社設立する際の注意点を解説します。

合同会社の定款雛形は最低限の内容

まず、合同会社の定款には以下の内容を必ず盛り込む必要があります。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 社員の氏名又は名称及び住所
  5. 社員全員が有限責任社員である旨
  6. 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準

そして、合同会社の定款では、以下のようなひな形が一般的に使われています。

西宮相続サポート合同会社定款
第1章   総 則
(商号)
第1条 当会社は, 西宮相続サポート合同会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1 相続及び事業承継に関するコンサルティング
2 相続に関するセミナー、講演及び研究会等の実施
3 前各号に附帯する一切の事業
(本店の所在地)
第3条 当会社は,本店を兵庫県西宮市に置く。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は,官報に掲載してする。
(社員の氏名,住所,出資及び責任)
第5条 社員の氏名及び住所,出資の価額並びに責任は次のとおりである。
1.金300万円 兵庫県西宮市甲子園口北町1番23号荒木ビル3F 有限責任社員 今井太郎
2.金200万円 兵庫県西宮市甲子園口北町1番23号荒木ビル3F 有限責任社員 今井花子
(業務執行社員)
第6条 社員今井太郎は及び今井花子は,業務執行社員とし,当会社の業務を執行するものとする。
(代表社員)
第7条 代表社員は業務執行社員の互選をもって,これを定める。
(事業年度)
第8条 当会社の事業年度は,毎年4月1日から翌年3月31日までとする。以上,西宮相続サポート合同会社の設立のため,この定款を作成し,社員が次に記名押印する。平成○年○月○日
有限責任社員  今井太郎 ㊞
有限責任社員  今井花子   ㊞

この定款でも、合同会社設立に必要な最低限の内容は盛り込まれています。
会社によっては、ひな形どおりの定款を作っても問題ありません。

しかし、上記の雛形では、次の点について考慮がされていないといえます。

  • 議決権の割合
  • 業務執行の方法
  • 定款の変更方法
  • 競業取引を行う場合の規定
  • 利益相反取引を行う場合の規定
  • 剰余金の配当方法
  • 残余財産の分配方法

例えば、上記定款では、今井太郎が金300万円を出資し、今井花子が金200万円を出資しています。
この場合、今井太郎は花子以上に出資しているため、今井太郎の方がより多くの議決権を持つと思いがちです。

ところが、合同会社では定款で別段の定めがない限り、議決権は1人1票となります。(会社法第591条第1項)

社員の経営方針が一致しない状況で議決権が同だった場合、決議が成立しません。
そのため、このケースでは『出資割合に応じて議決権を持つ』旨の定めを定款に盛り込むのが有効です。

その他も、定款で「別段の定め」がなければ次のように決定する必要があります。

  • 業務執行→業務執行社員の過半数により決定
  • 定款の変更→総社員の同意により決定
  • 競業→業務を執行する社員は、当該社員以外の社員全員の承認が必要
  • 利益相反取引→当該社員以外の社員過半数の承認が必要
  • 剰余金の配当→出資割合に比例
  • 残余財産の分配 →出資割合に比例

このように、合同会社の定款のひな形には考慮されてない点があるためご注意下さい。
合同会社設立後に定款を変更することは可能ですが、最初に対策をしておくのが一番です。

なお、株式会社を設立する際とは異なり、合同会社の設立では公証人の定款認証が不要です。
そのため、専門家に手続を依頼されない場合、定款内容を確認するのは法務局だけとなります。

しかしながら、法務局では先に述べたような問題点を指摘してくれません。
定款内容についての責任は、すべて社員にかかってきます。

電子定款を作成する行政書士サービスについて

定款を紙で作成する場合は、4万円の収入印紙代が必要です。
しかし、定款のデータに電子署名したもの(電子定款)を法務局に提出すれば、収入印紙は不要となります。

電子定款を作成するためには、電子署名ができる専用ソフトを購入し、電子証明書を取得しなければなりません。
これらを一般の方が用意するのは大変ですので、今では「定款に電子署名するサービス」を提供している行政書士事務所も存在します。

この場合、単に電子署名をしてもらえるだけなのか、定款のチェックまでしてもらえるかの確認はするようにして下さい。
法律家が定款に電子署名をしたからと言って、定款内容に問題なしと保証されたわけではありません。

なお、西宮の司法書士・行政書士今井法務事務所でも、定款への電子署名サービスを提供しております。
もちろん、定款内容まで確認するよう努めておりますのでお気軽にご相談下さい。
→お問い合わせはこちら

まとめ

合同会社は、手軽に法人化をしたい方にとってありがたい形態です。
しかし、定款の作成においては様々な注意点があるため、司法書士・行政書士等の専門家に相談をされることをお勧めします。

以上、合同会社の定款を自分で作成して会社設立するときの注意点でした。
この記事がこれから合同会社を設立される方々の参考になりましたら幸いです。

参考条文

会社法第590条(業務の執行)

  1. 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
  2. 社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
  3. 前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。
会社法第591条(業務を執行する社員を定款で定めた場合)

  1. 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第3項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。
  2. 前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。
  3. 業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。
  4. 業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
  5. 前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。
  6. 前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
会社法第594条(競業の禁止)

  1. 業務を執行する社員は、当該社員以外の社員の全員の承認を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
  2.  業務を執行する社員が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって当該業務を執行する社員又は第三者が得た利益の額は、持分会社に生じた損害の額と推定する。
    一 自己又は第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引をすること。
    二 持分会社の事業と同種の事業を目的とする会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
会社法第595条(利益相反取引の制限)

  1. 業務を執行する社員は、次に掲げる場合には、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
    一 業務を執行する社員が自己又は第三者のために持分会社と取引をしようとするとき。
    二 持分会社が業務を執行する社員の債務を保証することその他社員でない者との間において持分会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき。
  2. 民法第108条 の規定は、前項の承認を受けた同項第一号の取引については、適用しない。
会社法第622条(社員の損益分配の割合)

  1. 損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
  2. 利益又は損失の一方についてのみ分配の割合についての定めを定款で定めたときは、その割合は、利益及び損失の分配に共通であるものと推定する。
会社法第637条(定款の変更)持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる。

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