知っておきたい合同会社の運営ポイント

合同会社の概要

合同会社(LLC)は、日本の会社法で認められた法人形態の一つです。

合同会社は社員(出資者)が有限責任を負う持分会社で、社員全員が出資額の範囲内でのみ責任を負います(会社法第576条第4項)。

なお、合同会社の「社員」とは、一般的な意味の従業員ではなく、会社の出資者を指します。このため、社員は会社の債務に対して個人的な責任を負わず、会社の財産のみが債権者の引当となります。

合名会社・合資会社との違い

合同会社は、合名会社や合資会社と同じく持分会社に分類され、出資者である社員が直接会社を経営します。しかし、合同会社の社員は有限責任である点が異なります。

株式会社と同様に、社員は出資額を超える責任を負わないため、特別な事由がない限り、債権者は会社の財産のみを頼りにします。

合同会社に向いている企業

合同会社は、所有と経営が未分離で、出資者が直接経営に関与する形態です。

設立手続きが簡便で運営の自由度が高いため、小規模な家族経営や個人の資産管理に適しています。総務省の統計によれば、2022年度に設立された合同会社は約3万5000件で、全法人設立の約30%を占めます。

合同会社は米国のLLCを参考にした制度であり、アップルジャパンやアマゾンジャパンもこの形式を採用しています。

役員の任期がない

株式会社では取締役や監査役の任期があり、任期満了後には株主総会での決議や法務局への登記が必要です。

一方、合同会社では役員の任期が定められていないため、改選手続きが不要です。これにより手続き的な負担が軽減されます。

決算公告が不要

株式会社は毎年の決算公告が義務付けられており、費用もかかります。しかし、合同会社は決算公告が不要です。

これにより、公告費用を節約でき、財務内容を外部に公開する必要がありません。

剰余金の分配が自由

株式会社では剰余金の分配は株主総会での決議が必要で、出資比率に応じて分配されます。しかし、合同会社では定款の定めに従って自由に剰余金の分配が可能です。

例えば、定款に特定の分配方法を記載することで、出資額に関係なく均等に分配することもできます。

資金調達

合同会社は新株発行ができず、資金調達方法が制限されます。社員からの借り入れや金融機関からの借入が主な資金調達手段となります。株式上場による資金調達はできません。

出資金の払い戻し

合同会社では、定款に定めた方法により出資金の払い戻しを受けることができます。これは、株式会社では原則として認められていない特徴です。

個人事業主が合同会社を設立するメリット

個人事業主が法人化する際、合同会社は設立費用が比較的低く、株主総会や取締役会が不要なため、手続きが簡便です。法人化することで、経費として認められる範囲が広がり、法人税率が適用されるため、税負担が軽減される可能性があります。

また、設立後2年間は消費税が免除され、赤字の繰り越し期間も最大9年間となります。

合同会社の設立手続き

合同会社の設立は以下の手順で行います:

  1. 定款の作成
    • 目的、商号、本店所在地、社員の氏名・住所、出資の価額などを記載。
    • 定款認証は不要。
  2. 出資金の払い込み
    • 各社員は定款で定められた資本金を払い込み、その証明書類を準備。
  3. 法務局での登記申請
    • 登記申請書に必要事項を記載し、法務局に提出。
    • 登録免許税は6万円。

合同会社の運営

合同会社には取締役や取締役会、株主総会がないため、出資者が自ら業務を執行します。社員が複数いる場合、業務執行は社員の過半数で決定されます。

出資割合と業務執行

合同会社の業務執行は、出資割合に関係なく社員の頭数で決定されます。例えば、Aが600万円、Bが300万円、Cが100万円を出資している場合でも、Aが反対してもBとCが賛成すれば業務を執行できます。

業務執行社員の定め

定款で業務執行社員を定めた場合、その社員が業務を行います。業務執行社員が複数いる場合、過半数で業務を決定します。

業務執行社員の解任

業務執行社員の解任は他の社員全員の一致が必要で、正当な事由が求められます。正当な事由がある場合、裁判所に解任の無効を訴えることができます。

合同会社の解散

合同会社は、以下の事由により解散します(会社法第641条):

  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散事由の発生
  • 総社員の同意
  • 社員が欠けたこと
  • 合併
  • 破産手続き開始の決定
  • 解散命令による裁判

合同会社の破産申し立ては、業務執行社員全員の同意が原則ですが、例外もあります。

以上が、合同会社の概要と設立・運営に関する主要なポイントです。

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