内容証明郵便が住所氏名不明で送れない!困った時の意思表示の公示送達

「内容証明郵便を出したいのに、相手の住所や氏名が分からず送れない・・・」

そうなると、どうしていいか慌てますよね。

 

今回は、内容証明郵便を送れない場合の意思表示の公示送達について解説します。

この記事が少しでもあなたのお役に立てましたら幸いです。

内容証明郵便の基礎

内容証明郵便は、以下のようなケースでよく利用されています。

  • 相手が約束を守らない場合
  • 時効の中断をしたい場合
  • 裁判になった場合の証拠として残したい場合
  • 契約解除や、クーリングオフをする場合

内容証明郵便は、「意思表示が相手に到達した証拠」として利用することができます。

郵便局にも証拠が残るため、内容証明郵便なら相手が「受け取っていない」と否定することはできません。

 

内容証明郵便の効力は、内容証明が相手方に到達することで発生します。

民法第97条

  1. 隔地者(注:意思表示を行うのに時間を要する場所・状態にある相手方)に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
  2. 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

相手の情報不足で内容証明郵便が送れないケースも

しかし、相手の住所氏名(会社であれば本店・商号)が不明のときは、どうすればいいでしょうか。

相手の情報が不足していれば、郵便局も内容証明郵便を配達することができません。

 

このように相手が行方不明である場合、「意思表示の公示送達」という手続を取ることができます。

補足
      1. 相手の住所が不明でも職場を知っている場合、職場に内容証明郵便を出す方法が考えられます。ただし、内容証明を会社に送ることにより不測の事態に発展するおそれもあるためご注意ください。
      2. 相手が婚姻により姓を変えても、本人の同一性が変わるわけではありません。そのため、旧姓を記載した内容証明郵便も有効と考えられます。

意思表示の公示送達とは?

意思表示の公示送達については、以下の条文に定められています。

民法第98条(公示による意思表示)

  1. 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
  2. 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
  3. 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
  4. 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
  5. 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

意思表示の公示送達がされることで、内容証明郵便と同様に、意思表示が相手に到達した効力が生じます。

内容証明郵便を送れない場合でも、諦める必要はありません。

意思表示の公示送達の管轄裁判所

意思表示の公示送達の申し立て先は、相手の最後の住所地を管轄する簡易裁判所です。

 

なお、相手が法人である場合は、「法人及び代表者の住所が分からないこと」が要件となっており、

単に「相手が郵便物を受領しない」という場合は利用できません。

意思表示の公示送達の必要書類

次に、意思表示の公示送達申立てに際しては、相手の所在不明を証明する以下のような書面が必要です。

  • 転居先不明などで返還された郵便の封筒
  • 住民票、戸籍附票
  • 所在調査報告書

 

当然ながら、意思表示の公示送達は相手方にとって不利な手続です。

そのため、裁判所に証拠不十分と判断されれば、申立てが却下される場合もあります。

 

なお、訴訟で公示送達を行う場合は、意思表示の公示送達を別途行う必要は原則ありません。

民事訴訟法第113条 訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第111条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第98条第3項 ただし書の規定を準用する。

まとめ

相手の所在が知れず内容証明郵便が届かない場合、意思表示の公示送達手続を検討します。

ただし、意思表示の公示送達は内容証明郵便と比べると複雑なため、一般の方には大変です。

 

これら裁判所提出書類の作成は、弁護士又は司法書士に依頼することが可能です。

お困りの場合は、西宮の司法書士・行政書士今井法務事務所へお気軽にご相談ください。

参考判例

遺留分減殺の意思表示が記載された内容証明郵便が留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人が、不在配達通知書の記載その他の事情から、その内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく右内容証明郵便を受領することができたなど判示の事情の下においては、右遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。(最判平成10.6.11)
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