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民法改正による遺産分割・遺言・遺留分・特別の寄与の取り扱い

民法改正による遺産分割などの取り扱いを抜粋してご紹介します。

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遺産分割前に相続財産が処分された場合の取り扱い(令和元年7月1日以降の相続から)

遺産分割前に相続財産が処分された場合も、共同相続人全員の合意があれば、

『処分された財産も、遺産分割時において遺産として存在する』とみなせることが明確化されました。(新民法第906条の2第1項)

遺産分割協議や審判(令和元年7月1日以降の相続から)

共同相続人は、民法第908条の規定により被相続人が遺言で遺産分割を禁じた場合を除いて、いつでも遺産の全部または一部の分割をすることができることが明確化されました。(新民法第907条第1項)

自筆証書遺言の取り扱い(平成31年1月13日以降の遺言について適用)

自筆証書遺言に相続財産目録を添付する場合、目録には自書することを要しませんが、目録の各ページには署名捺印することが必要とされました。(新民法第968条第2項)

遺言執行者の任務の開始及び権利義務(令和元年7月1日以降の相続から)

遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならないとされました。(新民法第1007条第2項)

 

また、遺言執行者は遺言内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされ、必ずしも相続人の利益のために職務を行うものではないことが明確化されました。

遺留分制度に関する見直し(令和元年7月1日以降の相続から)

遺留分権利者やその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求めることができるとされました。(新民法第1046条第1項)

そのため、従前の遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記申請は、受理できないこととなります。

相続の効力や対抗要件についての見直し(令和元年7月1日以降の相続から)

相続による権利の承継は、新民法900条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないとされました。(新民法第899条の2第1項)

 

そのため、相続を原因とした権利承継であっても、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができません。

相続人以外の者の貢献を考慮するための特別の寄与(令和元年7月1日以降の相続から)

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者や廃除等により相続権を失った者を除く)は、相続開始後、相続人に対し、特別の寄与をした者の寄与に応じた金銭の支払い(特別寄与料)を請求することができるようになりました。(新民法第1050条第1項)

 

また、この特別寄与料について当事者間に協議が整わないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができるようになります。

 

なお、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月を経過したとき、又は相続開始の時から1年を経過したときは、この限りではありません。